TYT-125 - 見えない死体
管理番号: TYT-125
妖異通称: 見えない死体
危険レベル: レベル2
遭遇した場合は直ちに退避行動を取ります。物品や事象の場合、近づくことも避けるべきです。
警戒すべき対象です。なるべく早い段階でその場から退避する行動を取るべきです。
対応状況: 現在調査中
外観
なし
関連事件
● 2019年、東京都内の賃貸アパートから「一階の部屋から異臭がする」との通報がありました。 その部屋には80歳の男性が一人暮らしをしており、急死している恐れがあると言われました。 現場に急行した警察官と大家、通報者(同アパートに住む男性)が一階の部屋に鍵を開けて入ったところ、確かに異臭はするものの、住人の姿も争った形跡も何者かが侵入した形跡も無かったため、特に問題無しとされました。 しかし、住人の男性の姿が無かったため近隣の捜索と聞き込みを行いましたが「よく午後に散歩しているところは見るけど、ここ数日は見ていない」という証言ばかりでした。
通報から数日後、件のアパートの部屋の異臭が悪化し、室内に大量のハエなどの虫が発生したことからアパートの大家が特殊清掃と警察に連絡をしました。
警察立ち会いのもと清掃にあたった人の話では、ハエなどの虫が室内の一定の場所に集中しており、それが人の形を成していたそうです。
しかし虫を除去しても遺体は発見できず、腐敗した人体の成分のみが発見されました。
広域情報
● 現在都内の賃貸アパートで発生した事件のみが報告されています。 しかし、都内でしか発生しない妖異との確証が得られていないため、賃貸アパート及びマンション在住の方はご注意ください。
ポイント
■帝国妖異対策局で行われた清掃員への聴取記録より引用
アパートの大家さんから連絡を受けたのは昼前でした。警察にも連絡を入れているとのことでしたので、とりあえず警察立ち会いで部屋を見ようと、装備一式を持ってアパートに向かいました。
独居老人の孤独死は今の時代では珍しくありませんので、死後数日とか数週間経ってる現場は慣れてるつもりでした。 でも……あのような場所は初めてです。
部屋の中は明らかに死体があるような状況なんです。虫が涌いてハエが飛び回り、強い異臭がする。その臭いは人間が腐っていく時に発生するものでした。だから、どこかに死体が……もしくは体液があるはずなんです。
それが無かったんですよ。あるのは、こんもりとした虫の山。
ポンペイ遺跡ってご存知ですか?あぁ、映画で観た?そうですか。そのポンペイ遺跡ってのは、火山の噴火で火山灰に埋もれた街なんです。
でね、有名なのが人間の型に固められた石膏。逃げ遅れた人や死んだ人の上に火山灰が降って、そのまま遺跡になった……当然死体があった場所は空洞化しますよね。そこに石膏を流し込んだんです。死体の形、そのまんまなんですよ。
なんでポンペイ遺跡の話が出てきたかって?僕が見た虫の山も、そんな感じだったんです。人間の形……こう、うつ伏せになってる状態の形に虫が蠢いてて。
そこに死体があるのかと思って虫を払ったら、何も無い。でも虫はいる……。
透明人間がいるような感覚でした。
警察の人は困ってましたよ。見えないんじゃ運び出すどころか、遺体の確認も現場検証も出来ないってね。
結局鑑識の人が手探りでやってましたよ。
室内に不審なもの?いやぁ、特に無かったですけどね。病院の薬とか、亡くなった奥さんの仏壇とか…あとはどこの家とも同じですよ。ゴミ屋敷どころか綺麗に整頓されてましたし。
本は色々ありましたね。有名作家の推理小説が多かったかな。 でも一冊だけ作家名がない本がありました。
『透明人間のすすめ』とか書いてありましたね。自費出版のかもしれませんが。
対応詳細
妖異に関する情報が不足しているため、引き続き調査を進めます。 帝国妖異対策局では、大手不動産会社に協力を仰ぎ、情報提供を呼びかけています。
また、清掃員からの聴取にあった『透明人間のすすめ』なる本についても、現在調査中です。
国民の皆様におかれましては、不審な強い臭気を感じることがあった場合、ただちに警察へ通報してください。
臭気の発生源を探す等はしないようお願い致します。
懸賞金
帝国妖異対策局からの懸賞金は現在検討中です。
映像情報