tyt-041

管理番号: TYT-041
妖異通称: ニトクリスの鏡
危険レベル: レベル3
遭遇した場合は対象に気付かれないよう最大限の注意を払いつつ退避してください。物品や事象の場合、直ちにその場から離れます。 非常に危険な対象です。もし貴方の存在が相手に認識された場合、生命に関わる危機的状況に陥っていると考えるべきです。
対応状況: 聖倉院にて管理。


TYT-041。鏡の装飾フレームは中世に作られたものです。

1789年 フランスの■■領において、圧政と高い年貢に苦しむ農民が蜂起。武装した若い農民50人が■■領主の下へ詰め寄りました。領主は彼等を酒と料理で歓待。話し合いのためとして彼らを地下聖堂に集めました。地下聖堂の本来キリスト像が置かれているべき場所には不気味な装飾が施された鏡が一枚置かれていました。領主は酔っぱらっていた農民をその場に残し、自らは外に出て鍵を閉めました。翌日、地下聖堂には農民の姿は誰一人としてなく、ただ血だまりだけが残っていました。

50名の集団失踪は領内に瞬く間に広まり、当時フランス全土を覆いつつあった大恐怖の波と相伴って、■■領主は暴徒と化した農民によって殺害されました。その翌日、地下聖堂に移していた遺体とその見張り役10名が失踪。地下聖堂には鏡と血だまりだけが残されていました。恐怖に囚われた農民は領主の館に放火し、その後、呪われた館として誰一人近づく者もいなくなってしまいました。

10年後、エジプト・メイソンリーのカリオストロと名乗る人物※1が同地に来訪。館の噂を聞きつけ地下聖堂から鏡を持ち出したとされています。

※エジプト・メイソンリーの創始者であるカリオストロ伯は1795年に獄死しています。

● なし

ニトクリスの鏡は、エジプト第六王朝最後のファラオとして知られているニトクリスが、政敵を葬るために魔術を施したとされている鏡です。

ヘロドトスが記述した『歴史』によると、彼女は王位についていた兄弟の暗殺に対し、策略を持って残虐な復讐を為したと記されています。その記述によるとニトクリスは、仇敵を宴に招き秘密の部屋に閉じ込めて部屋に水を満たして殺害し、その後は報復を恐れて火の中に身を投じたと記されています。

魔術書として知られているラムレイ草稿においては、ニトクリスは魔術師より暗殺のためにこの鏡の呪具を入手したと記されています。悪魔や食屍鬼の恐ろしい姿を施した装飾枠に鏡をはめ込み、捕囚をこの鏡の置かれた部屋に一晩閉じ込めました。翌日になると捕囚の姿は消え去っていたとされています。

TYT-041は■■邸で発見されました。発見時には、鏡の装飾枠が画像のようなものに変えられていたため、それがニトクリスの鏡である確証を得るまでに時間を要することとなりました。後の調査で、現在の太陽を模した枠は18世紀になって交換されたものであることが判明しています。ラムレイ草稿によれば、この枠には鏡の魔力を封じる効果があるのではないかと考えられていたようです。

現在のところ、ラムレイ草稿に記されているような危険な現象が発生していませんが、鏡面にはこちら方向に飛び出そうとする何かの影が映し出されます。影は人影の他、未知の動物の影であることもありますが、いずれもむこう側から激しく鏡面を叩いている様子を確認することができます。

現在は聖倉院の保管・管理下に置かれています。

なし。



CREDIT

© 2019 HachiStudio
License: CC BY 4.0
画像はpixabayより引用(Pixabay License)。

  • tyt-041.txt
  • 最終更新: 2019/06/28 19:11
  • by tytman