TYT-017 - 古代の石仮面

管理番号: TYT-017
妖異通称: 古代の石仮面
危険レベル: レベル3
遭遇した場合は対象に気付かれないよう最大限の注意を払いつつ退避してください。物品や事象の場合、直ちにその場から離れます。 非常に危険な対象です。もし貴方の存在が相手に認識された場合、生命に関わる危機的状況に陥っていると考えるべきです。
対応状況: 現物保管し、調査中


[ 妖異の映像等 ]

● 青森県古代史サークル暴行事件
201X年青森県で起きた、古代史サークルの合宿中に起きた暴行事件。
合宿中に発掘された祭祀用と思われる石製の仮面をつけた瞬間豹変し、学生らを暴行。
教授を含む8名が骨折などの重傷を負い、5名が軽傷を負っています。

事件当時、学生らは飲酒していたことから、表向きは夜の飲み会で泥酔した学生による暴行事件として発表し、石仮面の存在などは一切出しませんでした。

しかし事件の規模の割りには謎が多いと、一部のマニアが指摘し、インターネット内では近年稀に見るオカルト事件と持て囃されています。

● 青森県内にある古墳時代の住居跡遺跡より発掘されました。

● 暴行事件被害者からの聞き取り記録(※犯人Aを含む関係者は、当時未成年だったため名前はすべて伏せ字にして記載)

あれは、夏休み中の合宿中に起きた出来事でした。
僕は古代史サークルの発掘合宿に参加して、先輩たちと青森県に行ったんです。
東北の方は遺跡が多くて、考古学サークルだけじゃなくて古代史サークルでもよく行くんですよ。
その時発掘作業した遺跡は、古墳時代の住居跡遺跡でした。道路工事中に見つかった遺跡らしくて、夏の間に少しでも発掘を進めたかったんでしょうね…教授は僕たちを馬車馬のように使ってましたよ。
暑い炎天下の中の発掘作業…いくら若くてもキツかったですね。でも、掘ったら出るわ出るわ…何って色んな物がですよ。
土器の破片やら、住居で使ってた柱の跡やら、食糧まで出ましたね。
この時代には青銅器もありましたので、そういったものまで出土しました。
発掘した経験が無いと、なかなか分からないと思いますが、出てくるだけでテンション上がるんですよ。
ここにかつて人が住んでて、確かに生活してたんだなぁ…って実感が持てるから。
まぁ、出てくるものは全部バラバラの破片なんですけどね。博物館に展示されてるような綺麗なものなんて出てきませんよ。
あれは後でくっつけて、見れる状態にして置いてるんです。結構しんどい作業ですよ。
そんな破片ばっかり出てくるのが当たり前ですから、あの石仮面を見つけた時は驚きました。
すごく綺麗な状態だったんです。ヒビも無くて、洗えばすぐに使えるくらいの状態でした。
僕は捏造を疑いましたよ。誰かがこっそり埋めた新しめの遺物なんじゃないかって。でも同じところから剣と銅鐸と鏡等も出てきまして…誰かが埋めたものじゃないことは明らかになりました。
詳しい鑑定は後日ということになりましたが、この住居跡で祭祀用として使用されていたものだろうと教授は話してました。
すごいのを発見したぞ!とみんな盛り上がっていましたが、なんだか僕は少し嫌な感じを覚えてましたね…見れば見るほど、どこか禍々しくて。
掘り起こしてはいけないものを掘り出してしまったんじゃないかと思いました。

夕方に発掘を終え、出土品はすべて箱に入れて、合宿施設の一室に保管しました。
夕食後はお待ちかねの飲み会です。スーパーで買い込んだビールや日本酒を紙コップで煽り、安いスナック菓子や柿ピーをつまみに強かに飲みました。
若い学生なんてものは、酒の飲み方を知りません。教授が寝たのを良いことに、僕たちは安酒に酔ってはしゃいでました。泥酔しているのも数名いましたね。

午後11時くらいだったと思います。同級生のAがトイレに行ったんですが、戻ってきた時に見覚えのあるものを片手に持ってました。

それは、あの石仮面でした…

出土品を教授の許可なく素手で触るなんて、許されないことです。
僕の酔いは一気に冷めました。これは不味い…酔っ払いのおふざけでは済まされない!
何名かは、僕と同じ表情をしていました。しかし、泥酔している学生らは大声で笑っています。

「おい、A!それ被ってみろよ!」

誰かが、言いました。
Aは呂律の回らない口で何かを大声で言いながら、それを顔に近付け…被ったんです。そしてはしゃいだようにゲラゲラ笑っていました。
ちょっと教授呼んで来る…とB先輩が立ち上がりました。
その時です。笑っていたAが急に石仮面を手で覆い、頭を激しく振り回し始めました。
最初はふざけているのかと思いましたが、聞こえてくる唸り声と動きは誰が見ても異常でした。

「おい…A、大丈夫か?」

B先輩が近付くと、Aの動きはピタリと止まりました。そして、B先輩の腹部に思いきり拳を叩き込んだのです。
B先輩は胃の中の物を床にぶちまけ、その場に倒れました。Aは追い討ちをかけるようにB先輩に跨がり、顔面や胸に何度も、何度も拳を打ち付けました…動物のような咆哮をあげながら…
僕たちはAを止めることが出来ず、あまりの異常さに恐れをなして部屋から逃げ出しました。
体にアルコールが入っているせいで、そんなに速く走れません。

う゛おぉぉ…!おおぉぉ…!

と言葉にならない叫び声をあげながら、Aは逃げ惑う学生を捕まえては血が噴き出るまで暴行しました。Aの小柄な体躯に見合わないほどの力で…。
Aの手を見ると、指がおかしな方向に折れ曲がっていました。殴りすぎて骨折したのでしょう。それでも、彼は止めませんでした。
やがてAは窓を突き破り、どこかへと走り去ってしまいました。

事件から一夜明けて、Aは合宿施設付近の山中で発見されました。
身体中に目視で分かるほどの骨折等の怪我を負っていましたが、痛みは感じないらしく、狂乱状態で捜索に来た帝国妖異対策局員と交戦。
一度は確保しましたが、石仮面は顔面から外れず、隙を見て逃走。崖から転落し、頭部を負傷し病院へ搬送されましたが、数時間後に死亡が確認されました。
その時、石仮面はやっと外れ、現在は帝国妖異対策局にて現物保管し調査を続けています。

現在懸賞金はかけられていません。




CREDIT

© 2019 浅倉喜織
License: CC BY 4.0

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画像はpixabayより引用(Pixabay License)。

  • tyt-017.txt
  • 最終更新: 2019/05/28 09:10
  • by hachistudio