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  • 帝国妖異譚 ~ 北方より ~

    ■プロローグ
    洋上の小型フェリー

    甲板上には数人の惨殺死体。

    船のあちらこちらから怒号や悲鳴、争う音が聞こえてくる。

    人の声 「うわぁぁぁぁ!」

    ザシュッ!

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    人の声 「ぎゃぁぁぁぁぁ」

    グシャッ!

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    人の声 「いやぁぁぁ!助けて!助けて助けてぇぇぇ!」

    ザシュッ!

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ………

    ……

    ミヤビ 「…………」

    妖異A 「制圧完了」

    妖異B 「ギギ……ミヤビ様、今回の獲物は男女がそれぞれ二名……あと老人と少年……ギギ」

    妖異A 「他のものは捕獲の途中で抵抗したので殺害もしくは捕食しました」

    妖異C 「コイツラ……タ……タベテ……イイ?」

    ミヤビ 「殺しちゃったものは仕方ないけど、生け捕った分は駄目よ」

    妖異C 「イ……イキテルヤツ……イキタママ……タベタイ……イイ?」

    ミヤビ 「しょうがないわね。じゃあ、その老人で我慢しなさいな」

    妖異C 「ギギ……」

    老人 「!」

    男A 「や、やめろっ!」

    ミヤビ 「死にたいのなら、止めてみなさい」

    男A 「ぐっ……」

    ミヤビ 「……チッ」

    ザシュッ!

    老人 「ぐわぁぁぁあああ!」

    少年 「おじいちゃん!」

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    ぐちゃぐちゃ、くちゃくちゃ

    少年 「おじいちゃーーーーーーーーーーーーん!」

    ………

    ……

    男達 「うひゃひゃひゃひゃ…」

    女達 「うけっケケッケケケ」

    少年 「ボーーーー」

    妖異A 「どうやら全員、狂気の中に逃げ込んだようです」

    ミヤビ 「まぁどうせ身体だけがあればいいんだし……それに帝国の人間がどうなろうと構わないわ」

    ミヤビ 「私はね……」

    妖異A 「はい?」

    ミヤビ 「この国に復讐に来たの……」

    ………

    ……

    ミヤビ 「(少年に向かって微笑みながら)私も貴方と同じように30年前に妖異に捕らわれた……」

    少年 「ボーーーー」

    ミヤビ 「これでも昔は人間だったのよ。うふふ。貴方たちと同じ偉大な帝国の臣民様だったの……。いまとなってはず~っと昔のことだけど」

    ミヤビ 「30年前、この同じ海で私は妖異に捉えられた。そして目の前で両親が殺され、食べられるのを見た……見せられた」

    ミヤビ 「そのときに私は狂っちゃったみたい。そのまま気を失って倒れて、次に意識を取り戻したのは半年後。私がいたのは妖異の支配する世界。そこに沢山
    ある人間牧場のひとつで飼われていたの」

    ミヤビ 「それからは毎日地獄の日々よ。ずっとずっとずっと帝国から助けが来るのを待ち続けたわ……」

    ミヤビ 「海の上で襲われたのは私だけじゃないわ。そのとき一緒に沢山の帝国の人たちが殺され、浚われたんだもの。きっと帝国でも大事件になって、国を挙
    げて救出に取り組んでいるはず!」

    ミヤビ 「そう信じていたわ。別になんの根拠もなかったのだけれど……」

    ミヤビ 「それでも私は帝国を……帝国の人々を信じていたわ。きっと救出が来るって確信していた。ずっとずっとずっと待っていたわ。」

    ミヤビ 「どんな恐ろしい目にあっても、どんな辱めを受けても、いつか救出が来てくれるその時を信じて耐え続けた。……でも……」

    ミヤビ 「でも誰も来なかったわ……来ようとさえしなかった……。結局、帝国は私を……私たちを見捨てたの。私たちが襲われたことも妖異の存在も全部隠しちゃ
    ったのよ……すべてなかったことにしたの」

    ミヤビ 「だからね。貴方にも助けはこないの……」

    少年 「ボーーーー」

    ミヤビ 「貴方が選べる道は2つよ……妖異にその身を捧げるか……」

    ミヤビ 「人の心を捨てて自ら妖異になるか……」

    少年 「ボーーーー(シャーーーーッ)」

    ミヤビ 「アラアラおもらししちゃったの。いい狂いっぷりね。30年前の私とそっくり……」

    ………

    ……

    ミヤビ 「全員本国へ連れていきなさい」

    妖異A 「はっ」

    ………

    ……

    ミヤビ 「本国では定期的に人間を拉致し続けている。妖異は、捉えた者を体内に取り込んだり、あるいはその皮をまとって人間に化けて、帝国内へ浸入する。
    長年の間これが繰り返され、これまで着々と侵略の準備を推し進めてきた」

    ミヤビ 「30年前、子供だった私はすぐには殺されず。身体が大きくなるまで飼育されることになった。その間、私はずっと、ずっとずっとずっとずっと帝国
    から助けがくることを信じて待ち続けた……」

    ミヤビ 「一日たりとも故郷を思わない日はなかった。何年も何年も何年も、毎晩毎晩毎晩毎晩、涙を流し続けた」

    ミヤビ 「ある時私は、自ら進んで妖異に協力する人間たちが集まって暮らしている集落に住まわせられることになった」

    ミヤビ 「帝国に長期潜入する妖異は、この集落で人間の振る舞いを学ぶ。時には集落の人間と妖異が一緒になって帝国に潜入することもある」

    ミヤビ 「そうした事情もあって、集落の妖異や人間は帝国の近況に関する情報を沢山持っていた。私は彼らを通じて帝国の状況を知ることができた」

    ミヤビ 「そして知った……。帝国が私たちを捨てた……という事実を……」

    ミヤビ 「私は絶望し、狂い、泣き、叫び、吐き、そして帝国を……帝国のすべてを憎悪した」

    ミヤビ 「そして私は……」

    ミヤビ 「そして私は……自ら望んで妖異となった……」

    …………

    ■出会い

    土民党本部

    ………

    ……

    代議士 「これはこれはミヤビ様、この度はどれくらいの奴隷がご入用でございますか? 若い男女、少年少女、いくらでも見繕わせていただきますよ。おい秘
    書。」

    秘書 「はい。わが党の名簿及び署名リストから、グリーンが15名、オレンジが135名。直轄の大学サークルからは、グリーンが55名、オレンジが223
    名、ブルーが8名、直轄の宗教団体から……」

    ミヤビ 「フンッ、わかったもういい。グリーンを22人とブルーを2名、本国へ送れ! 今月中にだ」

    秘書 「かしこまりました」

    代議士 「今回はやけに数が多いですなぁ。いくら失踪しても足がつきにくいとはいえ24人ともなると、こちらとしてはそれなりに対応には苦慮するんですよ
    ねぇ」

    ミヤビ 「戯けたことぬかすな。そのうち4人分はお前が遊びで殺した女の補充分だ。貴様の趣味についてとやかく言うつもりはないが、もしその趣味が原因で
    人間の確保に支障がでるようなら……」

    代議士 「いやいや冗談ですよ、冗談! ちょっと言ってみただけです。ですから今度本国へ訪問した際も、何卒よしなにお願いしますよ」

    代議士 「ぐふふ。毎年本国で開催する奴隷パーティーが楽しみで楽しみで楽しみで仕方ありません。あっちじゃ奴隷に何をしても許されますからなぁ。強姦、
    拷問、殺し……なかでも……」

    代議士 「女の喉を切り裂いて死ぬまで犯す……何よりこれが一番ですわ! 女の顔が血と絶望と恐怖に覆われ、瞳から光が消えていくのを見ながら犯すのがサイ
    コーに気持ちいいんですよぉぉぉ」

    代議士 「こっちじゃ毎晩、その時のことを思い出しながらのセッ○ス三昧ですよ。最近はうちの党でも、若い女が増えてきているので相手には不自由しません
    が、さすがに国内で殺してしまうわけには……後の処理が大変面倒ですからなぁ」

    ミヤビ 「フンッ、いったいどちらが妖異なのやら」

    ………

    ……

    秘書 「ミヤビ様、こちらが24名のリストになります。それぞれ略歴・家族構成の他、ここ1年以内の写真及び生活圏・交際範囲についての情報が記載されて
    おります。」

    ミヤビ 「(パラパラパラ)ふむ、いいだろう。」

    ミヤビ 「んっ?」

    ミヤビ 「宮下真希……?」

    秘書 「その女は帝都大学の2年生ですね。1年の時に、党員Xがテニスサークルの先輩として彼女を篭絡。現在は、恋人関係を維持しています。」

    秘書 「今年初めからフェーズ3に移行。現在では毎月、Xと二人だけで梅島へ旅行に出かけるようになっています。丁度、今週末に出かけるようですので、今
    回の捕獲はそのタイミングに行われることになるかと」

    秘書 「カバーシナリオは?」

    秘書 「おそらく『船事故』、あるいは『駆け落ち』で対応することになるでしょう」

    ミヤビ 「『入れ替え』は使えないか」

    秘書 「それは難しいですね。宮下真希の両親はとも健在で、時折は会っているようです。もし『入れ替え』となると、この対象はグリーンからオレンジへ変更
    することになるでしょう」

    ミヤビ 「そうか。わかった」

    ミヤビ 「それにしても、宮下か……。宮下……宮下……真希……真……希……」

    ミヤビ 「!」

    秘書 「どうかされましたか?」

    ミヤビ 「家族構成についての詳細は?」

    秘書 「資料の4枚目になります」

    ミヤビ 「(パラパラ)真司……のぞみ……宮下……」

    ミヤビ 「!」

    ミヤビ 「( フフフ。なるほどそういうことね……。フフフ……そういうことなのね )」

    秘書 「あの……?」

    ミヤビ 「面白いっ!これは面白いっ!」

    代議士・秘書 「……?」

    ………

    ……

    梅島

    ………

    ……

    真希 「(ハイハイもう大丈夫だから! だから友達との旅行だって言ってるでしょ! ……えっ? 女の子に決まってるじゃん! まったくママは心配性なんだ
    からぁ)」

    真希 「(キチンと電話するから……うん…うん、わかった。ちゃんと連絡するから、あまり心配しないで……うん。じゃあね)ピッ」

    真希 「ふうっ。これでママの方はよしっと。あとはパパかぁ……もう毎月のことなんだから、いい加減に慣れて欲しいなぁ」

    真希 「……うん、パパは放っておくことにします」

    真希 「さて、ホテルに荷物は置いたことだし、そろそろ食事でもしたいかなぁ……って、幸一さんはまだ電話中かぁ。男の人の親も色々と面倒なものなのかし
    ら……」

    ………

    ……

    加藤 「(……ハッ。了解しました。一三○○、これより作戦行動に入ります)ピッ」

    真希 「幸一さんも電話終わったの?」

    加藤 「あっ……あぁ、今終わったところだよ(汗」

    真希 「んっ? なにか深刻な話だった? 大丈夫?」

    加藤 「えっ? も、もちろん大丈夫だよ。大した話じゃない」

    真希 「……もしかして、他の女からだったりして?」

    加藤 「全然違うってw ……って、もし違わなかったらどうするつもりだった?」

    真希 「え~っとねぇ~。浮気者は海に落として鮫の餌にしちゃいます!」

    加藤 「怖いこというなぁw だけど残念ながら、この辺の海には人を襲うような鮫はいないよ」

    真希 「そうなんだぁ。じゃあ助かってよかったねw」

    加藤 「ハハハ」

    加藤 「……鮫は……ね」

    真希 「えっ、何?」

    加藤 「あっ、えっとね。夕方から周遊船が出るみたいだから、それに乗ってみようって話。ほらパンフレット……」

    真希 「ふむふむ松島近くまで行くのね。えぇっとバンド演奏あり、お酒と食事も楽しみながら……いいねいいね!コレ行きましょう!」

    加藤 「OK。それじゃチケット買いに行こうか」

    加藤 「(ニヤリ……)」

    ………

    ……

    ………

    ……

    少女 「真ちゃん! こっちこっち!」

    少年 「ミヤちゃん! 海は危ないから近づくなって、朝礼で先生が言ってただろっ!」

    少女 「ヘーキヘーキ! ほら!誰もいないから、私たちだけの浜だよっ!」

    少年 「う~ん、確かに僕たちだけしかいないし……まぁ、なんだか気分がいいね」

    少女 「よいしょっ、よいしょっ、よいしょっ、ここほれにゃんにゃん」

    少年 「?」

    少女 「よいしょっ、よいしょっ、よいしょっ、ここほれわんにゃん」

    少年 「何してるの?」

    少女 「よしっ! 落とし穴できた!」

    少年 「なんていうか穴だよね」

    少女 「落とし穴できた! ジィィィィィ」

    少年 「?」

    少女 「ジィィィィィ」

    少年 「あっ、あぁあぁ、ハイハイ」

    少年 「(スッコロリン)だ、誰だぁ! こんなところに落とし穴作った奴はぁ!」

    少女 「アハハハ、埋めちゃえ! 埋めちゃえ! えいっ! えいっ!」

    少年 「ちょっ、砂かけんな! って、口に入った!」

    少女 「アハハハ、えいっ! えいっ!」

    少年 「ちょっ、いい加減にしろよっ、このっ! って逃げるなぁぁぁ!」

    少女 「アハハハ!(タッタタタタタ)」

    少年 「ま、待ちやがれ!(タッタタタタタ)」

    ………

    ……

    少女 「ハァハァ……」

    少年 「ヒィヒィ……どんだけ本気で逃げんだよ。もうヘトヘトだぁ」

    少女 「わ、わらひもへろへろ……」

    少年 「ちょっと海水で手足の砂落としてくる……」

    少女 「砂だらけだもんね」

    少年 「ったく、だれのせいだよ。うっ、まだ海は冷たいな……」

    少年 「しっかし、誰もいないし静かだし、なんだかのんびりした気持になれるなぁ。沖合の船がゆっくり進んでくのが、のんびり気分を増してくるよなぁ」

    少年 「(少女の横に座って)のんびりだよなぁ」

    少女 「うん。のんびりだねぇ」

    少年 「んっ? ミヤちゃん、砂に何書いてるの?」

    少女 「好きな人の名前……」

    少年 「ふ~ん……えっ? 誰誰誰?」

    少女 「(ササッ)」

    少年 「(「真」って書いてあった……ような……)」

    少女 「私の好きな人は、だ~れでしょう?」

    少年 「だだだれって、えっ……と、し、四万十川!」

    少女 「何よそれ? 川? ブブーッ、違いマース!」

    少年 「それじゃ…」

    ………

    ……

    少女 「ブブーッ、それも違いマス!」

    少女 「ねぇ、夕日になっちゃったし、そろそろ帰ろっか」

    少年 「あっ、あと一回、一回だけ……」

    少女 「う~ん、どうしよっかなぁ~……!?」

    少年 「んっ? どうしたの?」

    少女 「ほら、あの船……近くない?」

    少年 「んっ? あれ? さっき沖合にあったヤツか? いつの間にえらく近くまで来てるな?」

    少女 「もしかして、船の上から私たちを見つけて、それで怒りに来てたり?」

    少年 「まっ、まさかぁ」

    少女 「でもでも、どんどん近づいてない?」

    少年 「うっ、う~ん、そうかなぁ~」

    少女 「!!!!!」

    少年 「どうした!?」

    少女 「あれっ! あれ見て! あそこ! ほら防波堤から左の海面!」

    少年 「んっ!? んっ~~~。なんだあれ!? タコの頭?」

    少女 「う、海坊主!?」

    少年 「なんだよそれっ! で、でもなんか確かにこっちに近づいてきている………」

    少女 「は、速い、速いよ! 人間じゃあんなに早くは泳げない!」

    少年 「ににに逃げよう! 早くっ立って!」

    少女 「うんっ!」

    少年・少女 「(ダッ!タタタタタタ!)」

    ………

    ……

    村の駐在所

    ………

    ……

    少年 「うわぁぁぁぁぁん!」

    少女 「えっぐ、うえっ、えええん!」

    警官 「……それで海坊主を見たんだとか……」

    少年父 「海に近づいちゃいかんと、ガッコの先生からもしっかりと言われとろうがっ!(少年の頭にゲンコツ)」

    少女母 「まぁまぁ、宮下さん。真司くんは悪くありませんよ。うちのミヤビが引っ張っていったみたいですし……」

    少年父 「それでもです。女の子を危険から守るのが男ん子やろがっ!(少年の頭にゲンコツ)」

    警官 「お父さん、真司君はミヤビちゃんの手をしっかり握ってここまで来たんですよ。立派なもんです」

    少年父 「おう! それでこそ男ん子じゃ! エライエライ!(少年の頭グリグリ)」

    少年 「お父ちゃ~~~~ん! うえぇぇぇぇん」

    少女 「えっぐ、うえっ、えええん!」

    警官 「ハハハ。ほらっ、二人ともゴメンナサイしたら、うちの二階で休んでいきなさい」

    少年・少女 「ごめんなさぁぁぁぃ うえぇぇぇぇん」

    警官 「お~い! 希! 友達二人を二階に、みんなでおやつでも食べていなさい。お父さんたちはちょっと大人の話があるから」

    希 「はーいっ! ほら二人ともうえでTV見よっ!」

    少年・少女 「うん……。えっぐ、えっぐ」

    少年父 「はぁ……まったく大人の言うことちっとも聞きよらん。困ったもんじゃ」

    警官 「自分も言えた義理はないでしょうにw」

    少女母 「ふふっ」

    少年父 「まったくじゃw」

    警官 「それで……実は海坊主のお話なんですが……」

    ………

    ……

    二階駐在宅

    ………

    ……

    希 「ふ~ん、本当に海坊主がいたんだぁ」

    少年 「うん。すごく泳ぐのが早いんだ。さっきまで防波堤のところにいたのに、ちょっと目を離したスキに、ほとんど岸辺まで来てたんだぜ」

    少女 「浜から出て最後に振り返ったとき、あいつら砂浜から立ち上がろうとしてた……」

    希 「マジカっ!? 超見てぇぇぇ」

    少年 「俺は見たくねぇ。あんなコワイもん、二度とごめんだ」

    少女 「怖かった。気付くのがあと少し遅かったら、捕まってたかもしれない」

    希 「捕まったらどうなるの?」

    少年 「そりゃ、喰われるんだろ……たぶん」

    希 「マジカっ!? 超見てぇぇぇ……って、なんで僕を呼ばなかったのさっ! 二人だけ海坊主見てズルい!」

    少年 「いや、ズルいとか……ほんとヤバイからアレ……見たら死ぬから」

    希 「二人とも生きてんじゃんっ! なんで二人だけなの、二人はコイビトドウシなの?」

    少年 「ここここひ!?」

    少女 「ビト!?」

    少年・少女 「(真っ赤カァァァ)」

    希 「えっ! ナニソレ!? 二人だけズルイ! 私もコイビトドウシに入れてよっ!」

    少年 「はぁ!?」

    希 「ねぇねぇ、私も私も! コイビトドウシ! ねぇねぇイイでしょ? ミヤちゃん!?イイでしょ!?」

    少女 「そ、それは………」

    ………

    ……

    ………

    ……

    ミヤビ 「駄目に決まているだろう……」

    ミヤビ 「(!?)」

    ミヤビ 「夢……を見たのか……私は……」

    ミヤビ 「懐かしい……と感じるんだろうな、人間の頃の私であれば……」

    ミヤビ 「今ではただの記憶の再生でしかないが、こんな夢を見るとは、まだ私の中に人間の心の欠片が残っているのだろうか……」

    ミヤビ 「それにしても、今から思い起こしてみれば、あの海坊主は水妖で編成された拉致専門部隊『シークレリック』。確かに海坊主に違いない」

    ミヤビ 「あの頃からすでに妖異とは縁が結ばれていたということか……」 

    ミヤビ 「フフッ。妙なものだな」

    スマホ 「ピピッ」

    ミヤビ 「秘書か……」

    秘書 「ミヤビ様、作戦行動を開始したXから連絡が入りました。2000に松島付近で決行とのことです」

    ミヤビ 「わかった……ピッ」

    ………

    ……