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  • 怖い話 「クローゼット」

    何年か前の話。地方の某大学に合格した川島悟は、市内にマンションを借りてそこから通学していた。比較的裕福な家庭ということもあって、広くてお洒落な部屋だった。床はフローリングでクローゼットは壁に埋め込まれたタイプ、窓から見える市内の景色もちょっとしたものだった。

    入居してから半年くらい後、彼は奇妙なことが身の回りに起こっていることに気が付いた。時々、大学から帰ってきた時に、出掛ける時に開きっぱなしだったはずのカーテンが閉じられていたり、部屋に置いてあるものの位置が変わっていたりすることがあった。

    気になって以降、注意して見てみると、ほぼ毎日のように何等かの異変が部屋に起こっていることがわかった。川島悟は、友人の友里と雄二に相談することにした、

    「そんなに怯えることないじゃないか?」と雄二が言った。
    「いやいや、俺が大学に行ってる間に誰かが押し入ってるんだ。それで……」

    「で、何?」と雄二が遮った。
    「カーテンを閉じてくれて、部屋を片付けてくれてるのか。なんかツマラナイ話じゃないか」

    「いえ、怪しいわ。ストーカーか何かじゃないの?」と友里が言った。
    「ありそうな話よ。本当なら、早く警察に相談した方がいいわ」

    「警察が何してくれるって?」と雄二が言った。
    「何か壊されたとき、何か被害が出ているわけでもなし。窓やドアの鍵がこじ開けられたわけでもないんだろ? 決定的な証拠もない。それじゃ警察は動いてくれやしないよ」

    「じゃ、どうすればいい? 俺には何もできないのか」
    川島悟は絶望的な声を上げて言った。

    「大丈夫、私が良い方法を教えてあげるわ」友里が言った。
    「簡単なことよ。ビデオカメラを部屋に設置して、留守中の部屋を撮影しておけばいいのよ。もしストーカーが映っていたら、それが証拠になって警察も動いてくれるでしょ?」

    「それいいね。素晴らしいアイデアだ。早速やってみよう」と川島悟は明るい気持ちになって答えた。

    「それで何も映ってなかったら、その映像を精神科医に見せてアドバイスを受けた方がいいかもな」と雄二がからかった。

    その晩、友里から小型ビデオカメラを借りて、部屋を見渡せる場所に目立たないように設置した。翌朝、出かける前に録画ボタンを押して、そのまま大学に出かけた。それで安心したからか、大学での講義の間、すっかりそのことを忘れて過ごすことができた。

    部屋に戻ってカメラを回収すると、友里に電話を掛けながらビデオの再生ボタンを押した。

    「ちょうど今、部屋に帰ってビデオを再生しているところだよ」川島悟は言った。

    「そうなんだ。このまま電話切らないで、何が映ってるのか教えてよね」

    小さな液晶画面に録画映像が映し出された。そこには、ビデオカメラを設置した後、大学に出かける自分自身の姿が写っていた。それからしばらくの間、特に何も映っていなかったので、彼は早送りしながら映像を見た。

    「特に何も映ってないね」と川島悟は言った。

    「なんだ。それならやっぱりテレビでも見た方が面白そうね……」

    「うわっ!なんだこりゃ!」
    川島悟は突然叫んで、再生ボタンを押して、早送りをやめた。

    「なに!なに!どうしたの!?」
    友里も慌てて電話越しから尋ねた。

    「部屋のドアが開いた!」川島悟が叫んだ。「女だ……」

    「その人、何してるの?」

    「立ってる……、ドアを閉めて……、歩き回ってる……」

    「なにそれ怖い! どんな見た目なの?」

    「顔は見えない……、長い…黒い…ボサボサの髪……、ボロボロの服……」

    「知ってる人?」

    「いや。全く知らない。ほ、包丁を持ってる……。でかい出刃包丁……、ごみ箱をあさってる……今、俺の服を取って臭いを嗅いで……」

    「気持ち悪い。何なのその女」

    「クローゼットを開けて……中に入った……」

    その後、しばらく映像を見ていたが部屋は空っぽのままだった。

    「早送りにしていてるけど、もう何も映ってないよ」

    「これってどう思う?」川島悟は友里に言った。
    「これ証拠になるよね。警察に持って行ったら、ちゃんと動いてくれるよね」

    「ええ、もちろんよ。雄二だって、これを見たらもう茶化したりしないわよ」

    「雄二は疑ってたしね。これで信じてくれるだろう。友里、ありがとうな。いい友人を持って……うわっ!」

    「なに?なに?どうしたの!?」

    川島雄二は再び再生ボタンを押して、通常再生に戻した。

    「ドアが開いた!」

    「誰?」

    「あぁ、僕だ。ちょうど大学から帰ってきたところだよ」

    川島悟は、自分の姿が映像に映し出されているのを確認すると、ビデオカメラの電源を落とした。

    「それじゃ、警察に見せにいきましょう。私も一緒に行くわ」

    「ありがとう。じゃあ、15分後に駅前で待ち合わせるとしよう」
    川島悟は、ビデオカメラを掴んでバッグに入れた。

    「うん……ちょ、ちょっと待って!」友里が言った。
    「さっき女がクローゼットに入ったって言ったわよね。その後、女が出てくるところを見た?」

    川島悟の背筋に氷のように冷たいものが走った。その瞬間、クローゼットがギーッと開く音を聞いた。

    「逃げて!そこから逃げて!」友里は絶叫した。しかし遅すぎた。そのまま通話は切れて、彼女が何度電話しても、もう通話がつながることはなかった。

    その夜、警察は血の海の中に、18歳の大学生の惨殺死体を発見した。その腕にはビデオカメラが固く握られていたが、メモリカードは抜き取られていて、警察も見つけることはできなかった。

    警察の必死の追跡にも関わらず、結局犯人は見つからなかった。

    時折、TV番組で奇妙な事件として取り上げられることがあるが、
    住人に気づかれないまま、犯人が天井裏や押入れ、クローゼットに隠れていたという事件は、意外に多いらしい。

    中には、一人暮らしの老人宅の天井裏に、女が数年隠れ住んでいたという事件もある。

    気を付けてくださいね。

     

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  • 怖い話 「首狩り峠の噂」

     




     

    某県の山奥に、心霊スポットとして有名な、通称「首狩り峠」と呼ばれているところがあります。その昔、この辺りにあった集落の村人が落ち武者の首狩りを行ったとか、戦争のときに非道な人体実験が行われ、その犠牲者の遺体には首がなかったとか、色々な噂がまことしやかに語られています。そんな噂のひとつを紹介します。

    ある日、母親の入院する病院からの帰り道、父親の運転する車の中から、友里はだんだんと暗くなってくる山々の景色を眺めていた。
    急に雨が振り始め激しく車を叩き付け、ドラムを叩くような音が響いてきた。

    突然、大きな音がして車が揺れた。
    父親は必死にハンドルを操作し、スリップしながら、必死にブレーキをかけた。
    車は反対方向に向き、山側のコンクリートの壁に車体をこすりつけながらも、なんとか止めることができた。

    娘に怪我がないことを確認した後、父親は車のダメージを調べた。
    前のタイヤは両方パンクしており、左のフェンダーはぐちゃぐちゃにひん曲がっていた。
    それ以外には特にダメージは内容だった。

    「何か引いてしまったのかもしれないな」父親は娘に言った。
    「どちらにしろタイヤは両方とも駄目だ」

    「直せるの?」と友里は父親に聞いた。
    突然の出来事に震えていた。

    「無理だな」と父親は応えた。
    「スペアのタイヤが1個しかないんだ。困ったな。さっきからずっと車も通ってないし…」
    「携帯もつながらないか…」

    困り果てた父親が周囲を見回すと、暗闇と激しい雨に遮られてはっきりとは見えないが、
    道のずっと先に街頭らしきものがポツンとひとつだけついているのが見えた。

    「あそこに言ってみるか」と父親は言った。
    「そう遠くなさそうだし、お父さん一人で行ってくるから、車の中で待ってるんだよ」

    「うん」と友里は不安そうに応えた。「でも早く帰ってきてね」
    「わかった。しっかり待ってるんだぞ。内側からロックをかけておくんだ。なるべく早く戻るからね」

    友里は、車から離れ、激しい雨と暗闇に消えていく父親を見送った。

    それから1時間以上たっても父親は戻ってこなかった。
    友里は、どうしてそんなに時間が掛かるのかわからなかった。
    今では雨は止み、高く昇った月がうっすらと道を照らしていた。
    友里は、バックミラーを見ながら、もうとっくに戻ってきていいはずだと考え、不安を募らせていた。

    ちょうどその時、バックミラーに人影が移るのが見えた。まだ少し離れてはいるが、こちらへ向かって歩いてきている。
    最初、父親が戻ってきたのかと思い、彼女がよく目をこらして見てみると、それは勘違いであることがわかった。
    それはまったく知らない人だった。

    それはオーバーオールを着た大柄な人間で、もじゃもじゃの髭を蓄えていた。
    彼は片手に何か大きな物を持っており、それを前後に揺らしながら歩いていた。

    何かが彼女を非常に不安にさせた。目を凝らしてバックミラーをじっくりと見てみると、
    薄暗くてはっきりとは見えないものの、もう片方の手に大きな肉切り包丁のようなものを持っていることがわかった。

    思考が急速にめぐり、怯えながらも彼女は車のドアロックが掛かっていることを確認した。
    後方席に飛び移り、そこでもドアロックを確認した後、身を低くしてバックミラーを見た。

    男は車に近づいてくると彼女は身を潜めた。
    恐る恐るバックミラーを覗くと、

    男と目があってしまった。

    男は突然腕を振り上げて、手に持っているものを見せた。
    自分の視界に血の色が映ると、友里は気が狂ったような叫び声を上げた。

    それは、無残に切られた父親の首がだった。

    彼女は、全身を振るわせながら叫び声を上げ続けた。自分自身を押さえることはできなかった。
    心臓は早鐘を打ち、息ができなかった。
    グロテスクなそれは、父親の恐怖の表情で固められ、
    口は無理やり裂き開かれ、目の玉は裏返されていた。

    男が車に辿りつくと、彼は顔を窓に押し付けて彼女をギョロリと大きな目で見た。
    眼は血走り、その髪の毛は泥で薄汚れ。その顔にはいくつもの大きな傷跡が残っていた。

    男はドアを開けようとするが、ロックが掛かっているためドアは開かなかった。
    友里は恐ろしさと狂気のために頭を抱えて身を縮めて震えていた。

    再び雨が激しく振り始めた。激しい雨が車に打ち付けられ、大きな音が車の中に響いてきた。
    恐る恐る友里が顔をあげると…

    男が大きな狂人の眼をこちらに向けていた。その顔はニヤリと嫌らしい笑みに歪んでいた。
    男はポケットに手を入れた、何かを取り出した。

    それは、

    彼女の父親が持っていた車のキーだった。

    おしまい。

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  • 怖い話 「人形」


     

    友里の12回目の誕生日。その朝、彼女は母親に起こされると同時に、彼女宛に届いた宅配便の荷物を渡された。
    急いで中身を確認して見ると、そこには気味の悪いものが入っていた。

    それは、彼女がこれまで目にしたことのないほど醜くおぞましい姿をした人形だった。
    元はアンティークドールだったような名残があるものの、髪はほとんどハゲあがっており、肌の部分は、
    あちこちがひび割れたり、汚れがこびりついていた。最悪なのはその歯。
    そこには長く鋭く尖った歯が並んでおり、まるで野獣の牙のようだった。

    怖くなった彼女は、震えながら人形を部屋の片隅に投げ捨てた。
    それを見た母親が彼女を叱り、人がせっかく贈ってくれた人形を粗末に扱ってはいけないと友里を諭した。

    「ちゃんと大事にするのよ」

    友里は嫌がって抵抗したが、母親は一切耳を貸さず、友里に人形を大事にするようにきつく言いつけた。
    それで彼女は、ちょうど階段下にある玄関の靴箱の上に人形を置いた。
    靴箱の上におかれた水槽がちょうど死角になって、醜く禍々しい人形を見なくて済んだ。

    それから何日か過ぎた夜のこと。
    友里がベッドに横になっていると、奇妙な音が聞こえて来た。ひきずるような音が5分ほど続き、
    それから何かを引っ張るような音、そして最後に、とても素早い感じで小走りするような音が聞こえた。

    友里は恐怖に震え、ベッドの上で動けなくなってしまった。下の階から微かに、ひそひそ声が聞こえてきた。
    その声は何かにいらだっているかのように彼女に聞こえた。

    彼女は暗闇が怖かったので、眠るときには、いつも階段の電気をつけ、部屋のドアを少し開けるようにしていた。

    「友里…始まりだ…」

    そういう声がドアの向こうから聞こえ、何かを引っ掻くような大きな音がした。
    友里は何か尻尾のようなものが、引っ込むのを見た気がした。

    怯えきった彼女は、まばたきすることさえ怖くなり、夜が明けて母親が起こしに来るまで、一睡もすることができなかった。

    友里は母親に昨晩何があったか説明したが、母親は取り合わなかった。

    「ただの夢でしょ」

    友里も、そうかもしれないと思った。

     

    もちろんそんなことはなかった。友里は、人形を捨てたいと両親に懇願したが、両親はプレゼントされたものなのだから、
    大切に持っていなさいと叱られるだけだった。友里はしぶしぶそれに従い、昨日のことは夢だったのだと自分に言い聞かせた。
    その夜ベッドに入る前に、靴箱の影に人形が置かれていることをしっかりと確認した。

    その夜、友里は眠気と一生懸命に戦っていたものの、急に眠り込んでしまった。
    やがて姿なき声が彼女を再び目覚めさせた。それは自分にしか聞こえない声なのかと不思議な感じがした。

    「ゆぅぅぅぅりぃぃぃぃ!もう4つ目に入ったよぉぉ!」

    とその声が言った。じたばたと何かがもがくような音とその声のせいで、友里は恐怖に怯え、泣いて一夜を過ごした。

    翌日、学校で友里はその話を友人達に打ち明けたが、みんな笑って取り合ってくれなかった。
    友里は、ひとりで”4つ目”の意味について考えた。そしてなんとなく、あと一晩しか残されていないような気がした。

    その夜、友里は意を決して部屋の扉を閉めて眠ることにした。廊下の電気はつけていたが
    母親は友里がいつまでも暗がりを怖がっているようではいけないと消してしまった。
    友里は母親に、代わりに階下の電気をつけてとお願いしたが、それでは両親が眠れなくなるからと、これも消されてしまった。

    結局友里は明かりがないまま眠ることになってしまった。
    しかたなくカーテンを開いて窓から差し込む僅かな光を、ライトの代わりにすることにした。
    そして彼女がうとうとしかけた頃、またあの音が聞こえてきた。

    それから例の声が聞こえてきた。今度はとてもハッキリした声だった。

    「ゆぅぅぅぅりぃぃぃぃぃ、ようやく…」

    暗闇の中で、恐怖に震えながら、階下から何かがちゃがちゃ音を立てながら登ってくる音を聞いたような気がした。
    彼女は気が遠くなって行く中、部屋の扉が静かにゆっくりと開かれていくのを見たように思った…。

     

     

    翌朝。両親は、階段の下で倒れている友里を見つけた。
    部屋からトイレに向かう時、昨晩は電気を消して暗かった為に、階段で足を滑らせて下に落ち、

    首を折ってしまったのだろうと両親は思った。

     

    彼女の遺体の傍らに人形を見つけた両親は、お葬式の際、娘の棺の中に人形を収めた。
    誰もがこの突然の悲劇に涙を流した。

    「娘がとっても大事にしていた人形なんです」
    と母親が言った。

    「これでずっと一緒にいられるね」

     

     

     

    おしまい

     

     

     

     

     


  • 夜の山から



    付き合い始めたばかりのカップルが、ある山にハイキングに出かけた。陽が傾き始めたころ、彼らは道に迷ったことに気が付いた。女はだんだんと不安な表情を見せ始めたので、男はもうすぐ車を止めた場所に戻れるからと、女をなだめた。しかし、それから数時間歩いたにも関わらず、二人は自分達がどこにいるのかさっぱりわからなくなっていた。

    段々あたりが暗くなってくるにつれ、二人は絶望的な気持ちになってきた。二人は地図も方位磁石も持っていなかった。回りを見渡せば、どれも同じような木ばかりにしか見えない。二人の心が折れそうになったとき、少し開けた場所に古い民家を見つけることができた。

    その家は、かなり古く荒れ果てたもので、長年の間使われていないように見えた。窓は壊れており、ガラスはところどころ割れていた。屋根の瓦も沢山くずれ落ちていた。男は一応玄関を叩き声を掛けてみたが、何の返答もなかったので、ゆっくりと扉を開いて中に入った。

    中は外と同じく酷く荒れ果てていた。玄関の板間やそこに置かれている家具には長年に渡るホコリが厚く積み重なっていた。二人は周囲を見まわしたが、気が付いたのは酷くかび臭い臭気と、妙に重苦しい空気だけだった。

    靴を履いたまま二人は家に上がり、正面のふすまを開いた。そこは12畳くらいの広い部屋だった。夕闇のかすかな明かりが部屋の中に差し込み、そのおかげで二人は壁にかかれた赤い文字を読み取ることができた。

    「死!死!死!死!死!死!死!」

    不吉な言葉が壁一面に、何度も繰り返し書かれていた。

    恐ろしくなって握り合った二人の手は、両方とも震えていた。男がなんとか勇気を振り絞って、壁の文字に手を触れてみると、男の恐怖はより一層深いものとなった。

    赤い塗料で書かれた文字はまだ乾いていなかった。。

    二人は恐怖に慄いたが、かと言ってどこにも行くことはできなかった。二人は、崖の多い山道を通ってきており、真っ暗な山の中を歩く危険性を十分に理解していた。その上、野犬に出くわすかもしれない。壁に書かれた身の毛もよだつような文字に怯えながらも、二人はここで一夜を明かすことに決めた。

    二階に上がると、古い毛布を見つけることができた。二人は身を寄せ合って毛布にくるまって夜の寒さをしのぐことにした。恐怖とカビ臭さのために神経が高ぶっていたものの、暖かさと疲れから二人ともいつの間にか眠りに落ちた。

    それから暫くたった深夜のこと。何かを引きずるような音によって二人は目を覚ました。家の外から聞こえてくるようだった。

    「ねぇ。何か聞こえる?」と女が聞いた。男は耳を澄ませてみたが、その時にはもう何の音も聞こえてこなかった。男は立ち上がって、窓の方へと進んだ。窓ガラスの向こうには真っ暗な闇が広がるだけで、何一つ見えなかった。男は窓を開けて、顔を外に出して声を掛けてみた。

    「誰かそこにいますか?」そう叫んだ男の声は、すこし震えていた。

    何の返事も聞こえてこなかった。
    男が女のところに戻ってくると、女は「もしかしたら、その人は何かの事情で口がきけないのかもしれない」と言った。
    それを聞いた男は、もう一度窓に戻り、恐怖で緊張しながらも外に声を掛けた。

    「誰か外にいるの? そうなら手を一回、違うなら二回叩いて!」

    夜空に星がまたたき、コオロギのなく声が響く。

    突然「パチン!」と大きな音が聞こえた。
    男は驚いて女の元に引き換えし、「君が正しかったよ! 誰か外にいるみたいだ」と声を掛けた。
    そしてまた窓に戻り、必死に目を凝らして周囲を見てみたものの、そこには真っ暗な闇の他には何も見えなかった。

    「貴方はこの家の方ですか?」男が聞いた。

    パチン!パチン!

    「貴方は男の方ですか?」

    パチン!パチン!

    「では貴方は女性ですか?」

    パチン!パチン!

    「あなたは人間ですか?」

    パチン!パチン!

    男の背筋に冷たいものが走った。思わず息を飲み、しゃがれ声で「あなたは一人で来ているの?」

    パチン!パチン!

    「じゃあ何人で来たの? 一人一回ずつ手を鳴らして…」

    パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!パチン!

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