帝国妖異譚01 帝国


帝国妖異譚01 帝国

一 帝国は、様々において日本と似通うところ多きなり。島国であり、帝が治めたる国でその歴史の長きことを含め、まるで鏡に写したる双子の如し。しかし、我が国においては、迷信の類に属する心霊・妖怪・狐狸・悪鬼あるいは、神話における神々のようなものが、彼の国においては当たり前に存在しており、そのいくつかは、人と共に暮らし社会を形成したるということなり。

 蒼君の居住したるところは、国の首都たる帝都にあり、話を聞く限りにおいて、我が日本帝国を遙かに上回る科学文明を発達せしめたるものと推測す。なんとなれば、日本においては誕生したばかりのガソリン自動車と同じようなものを、多くの臣民が所有しており、また鉄道が帝国全域にまで広がっているということなり。驚愕すべきは、彼のライト兄弟の成功を遙かに上回り、数百名もの人間を乗せる「ぢゃんぼぢぇと」なるものが、主要なる交通機関として発達しているということなり。さらに蒼君は、帝国世界にも月があって、そこへ人類が到達したというが、いささか眉唾なり。いくら異界のこととはいえ、そこまでは信じ難し。

注 蒼君との交流当初は、大きく疑心を持って話をしたる由、月へ行きたる話を疑いたるが、この書を書き始めたる時に至っては、全く疑念の余地なきことここに記す。


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